2025/08/05
お知らせ
【結果報告】動物実験に対するニーズ調査の結果について
当拠点は3月末より約1ヶ月間、神奈川県川崎市殿町地域・東京都大田区羽田地域を含む各企業・機関様における動物実験の必要性等について確認を行い、殿町・羽田地域の動物飼育環境整備の必要性を把握するために実施しました。調査内容は2024年度、神奈川県川崎市殿町地域・東京都大田区羽田地域に立地する各企業・機関の動物実験実施状況です。
集計結果は回答してくださった各企業・機関様の許可のもと、公開いたします。
本調査結果の一部の内容は地方独立行政法人神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC)ならびに公益財団法人実中研が「創薬クラスターキャンパス整備事業」を申請する際の評価材料として取り入れられ、2025年6月26日(木)に無事採択されました。 → 詳細はこちらをご覧ください。
改めて、本調査にご協力いただけた各企業・機関の皆様に御礼申し上げます。
ご不明点や疑問(結果の引用等も含めて)等がございましたら、お問い合わせフォームよりお願い申し上げます。
【調査概要】

調査実施対象:神奈川県川崎市殿町地域・東京都大田区羽田地域に立地する各企業・機関
有効回答機関数:36機関(内訳は左図をご確認ください。)
実施時期:2025年3月27日~4月25日
【調査結果】
自社内の動物実験施設(試験研究用の動物の飼育施設)の所有状況について
自社内に動物実験施設、あるいは試験研究用の動物飼育施設を所有していると回答したのは9機関(25%)、所有していないと回答したのは27機関(75%)です。
一方で、動物実験を自社内で行っているのは7機関(19.4%)、動物実験を外部委託しているのは9機関(25%)、動物実験を必要としないのは20機関(55.6%)です。
別の設問で動物実験を行っていない機関限定で理由について調査したところ、動物実験施設あるいは試験研究用の動物飼育施設を所有していないため、動物実験を行っていないのは4機関で、必要としないのは16機関という結果になりました。
【まとめ】
✓自社内に動物実験施設あるいは試験研究用の動物飼育施設を所有、かつ動物実験を行っているのは7機関(19.4%)、
✓自社内に動物実験施設あるいは試験研究用の動物飼育施設を所有しているが、動物実験を行っていないのは2機関(5.6%)、
✓自社内に動物実験施設あるいは試験研究用の動物飼育施設を所有していないが、動物実験を行っているのは9機関(25%)、
✓自社内に動物実験施設あるいは試験研究用の動物飼育施設を所有していない、かつ動物実験も行っていないのは18機関(50%)です。
✓動物実験を行っていない理由は自社内に動物実験施設あるいは試験研究用の動物飼育施設を所有していない(4機関)、必要としない(16機関)に分かれました。
動物実験の実施地域について
「動物実験を行っている」と回答した企業・機関様に対して、動物実験の実施地域について調査しました。
殿町・羽田地区に入居している企業・機関の半数は同地区に動物実験を実施していることが分かりました。一方で、半数の方は別の地区で動物実験を実施してきました。今回のアンケートではその理由についてまでは確認できておりませんでした。
動物実験を「行っている機関」「行っていない機関」の結果比較
動物実験を「行っている企業・機関(右列)」「行っていない企業・機関(左列)」に対して下記の同様の設問を行いました。
① 殿町・羽田エリア内に動物実験施設ができたら利用しますか?
② 自社・施設内に動物実験委員会を有していますか?
③ 自社・施設内に動物実験経験者を有していますか?
【動物実験を行っている企業・機関(右列)】
動物実験を行っている企業・機関(16機関)のうち、10機関(62.5%)が殿町・羽田エリア内に動物実験施設ができたら利用しない、6機関(37.5%)が利用すると回答しました。
自社内に動物実験委員会を有しているのは9機関(56.3%)、有していないのは7機関(43.7%)でした。動物実験委員会を有していないが、動物実験を行う企業・機関もいますが、実験の外注委託先において動物実験委員会を有しているため、自社内では枠組みを設置しなかったとフィードバックをいただきました。
また、自社内の動物実験経験者について、いると回答したのは15機関(93.7%)、いないと回答したのは1機関(6.3%)のみでした。但し、十分な人数を有していないと回答したのは15機関のうち7機関(46.7%)でした。
【動物実験を行っていない企業・機関(左列)】
一方で、動物実験を行っていない企業・機関のうち、利用しないと回答したのは17機関(85%)、利用すると回答したのは3機関(15%)でした。
自社内に動物実験委員会を有しているのは3機関(15%)、有していないのは17機関(85%)、動物実験の実施状況と相応な結果となりました。
自社内の動物実験経験者について、いないと回答したのは15機関(75%)、いると回答したのは5機関(25%)でしたが、十分な人数を有していないと回答したのは5機関のうち4機関(80%)でした。過去に動物実験を実施した、あるいは今後動物実験を検討していると考えられる。
【まとめ】
動物実験経験者について、動物実験実施の有無にかかわらず、一定のニーズがあることが確認できました。殿町・羽田地区のみの企業・機関を対象とした調査のため、より広く調査を実施すると、より高いニーズを観察できると予想されます。今後、動物実験人材を含むソフト面の支援を要します。
動物実験の実施詳細
他にも、記述項目として、動物実験実施の目的や使用動物種及び匹数、動物実験の実施期間について尋ねました。
ほとんどの機関から有効性評価・安全性試験のために、動物実験を実施していると回答しました。製品出荷時の安全性を確保するために、動物実験を要すると考えられます。
使用する動物種・匹数そして実施期間については上記の表に回答をまとめました。
✓短期間でも大量の実験動物を使用するパターンや、通年実施する機関がいるため、外注せざるを得ない機関も存在します。
✓動物実験施設不足により、事業展開/新規治療法確立できない機関も存在します。